野球の未来

野球×科学

#2 [論文]ネクストバッターズサークルでマスコットバットを振ったら逆効果

こんにちは!

今回は野球の試合でもよく見る光景について考えたいと思います。ネクストバッターズサークルでウォームアップの一環として通常のバットよりも重いマスコットバットを振ることをルーティンにしている選手は少なくないと思います。ただあれ、完全に逆効果です。。

 

これに関する実験結果をまとめた論文があります。その論文では、マスコットバットを振った直後に通常の重さのバットを振ったときのスイング速度は、マスコットバットを振らなかった場合のスイング速度を下回ったという結果を報告しています。ちなみに、通常より軽いバットを振った場合にも同様にスイング速度の低下が起きることを報告しています。この要因を簡単に言えば、直前に通常とは重さの違うバットを振ることで、その重さに対するスイングに体が慣れてしまうからです。すると、通常の重さのバットを振る際に最適な力発揮ができなくなってしまいます。その結果を受けて、ウォームアップとして素振りをする場合には通常の重さのバットを振ることがこの論文内では推奨されています。

 

しかしながら、長期間(6〜8週間)にわたって継続的にマスコットバットをスイングするトレーニングを続けた場合には、速筋系というバットスイングを行うために必要な瞬発的動作を司る神経が発達することにより、スイング速度がトレーニング開始時点から向上したことが同じ論文で明らかになっています。つまり、日常的に継続する練習法としてはマスコットバットを振ることはしっかりと効果があるということになるのでご安心を。

 

参考文献:

Szymanski, D., DeRenne, C., & Spaniol, F.(2009).Contributing factors for increased bat swing velocity. Journal of strength and conditioning research. 23(4). 1338-1352.

「スイング速度向上に貢献する要因」