野球の未来

野球×科学

#3 [論文]素振りは1日何回すれば良い?

野球をしていれば、チームの監督・コーチに家で毎日素振りをしなさいと言われるでしょう。チームによっては1日500回など回数を決めて指示が出ることもあると思います。もちろん素振りは最も大切な練習メニューのひとつです。

ですが、最低限効果を実感するためには一体何回振れば良いのかなと考えたことはないですか?

今回は日々の素振りの回数とスイング速度向上との関係について述べた論文です。

 

論文内では、

  • ジュニアプレイヤー(中学生以下)がスイング速度を高めるためには、1日100スイングを週3回、6-8週間続ける
  • 高校生、大学生プレイヤーがスイング速度を高めるには1日150回、週4回、12週間の素振りを続ける

とされており、これだけのことをした場合に8-10%程度スイング速度が向上したことが報告されています。意外とこんな程度で良いのかと感じる人が多いのではないでしょうか。

ただし、これらは実験として「各年代の野球部に所属する選手たちが、それだけの回数・頻度・期間で素振りを続けた場合にスイング速度がどれだけ向上するか」を計測しただけなので、これ以上の回数を行なった場合(例えば大学野球選手が毎日500回の素振りを12週間した場合、など)どれだけスイング速度が上がるのかは不明です(効果は増すかもしれませんし、ある程度の回数を超えると効果は頭打ちになるかもしれません)。その他にも、実際の練習法に適用しようとするとツッコミどころの多いデータなのは確かです。

 

ですが、最低限これだけしておけばある程度はスイング速度が向上するという風に楽観的に頭の片隅に残しておくことのできるデータではないかと思います。何も毎日毎日素振りに追われずとも、週3-4回でもそれなりに効果はあるということです。

もちろん、各チームやご家庭によって様々方針があるとは思いますが、どうしても家での自主練習に身が入らないと感じることがあれば、最低限これだけの頻度・回数を維持することに専念してみることもひとつの方法かもしれません。

 

参考文献:

Szymanski, D., DeRenne, C., & Spaniol, F.(2009).Contributing factors for increased bat swing velocity. Journal of strength and conditioning research. 23(4). 1338-1352.

「スイング速度向上に貢献する要因」