野球の未来

野球×科学

#20 [コラム]走り込みはNG、でも千本ノックはOK?

もう何度もこのブログで言っていますが、僕個人としては走り込みのような根性トレーニングには断固反対です。なぜかというと、野球に必要な瞬発的な能力が上がるわけでもなくただただ精神を鍛えるだけのトレーニングになっていて効率が悪いからです。それだったらメンタルトレーニングをした方がずっと効率が良いと思います。

でもその一方で千本ノックのようないわゆる特守(特別守備練習?)や打ち込み(素振りなどの打撃練習の反復練習の繰り返し)には実は賛成です。なぜか。それはこれらが技術練習だからです。

技術の部分というのはもちろん効率的に反復できるドリルのようなものもあるかと思いますが、それでも基礎練習の繰り返しによって習得できるものだと思っています。ここが闇雲に時間をかければ良いというわけではないフィジカルトレーニングとは全く違う部分です。伝統芸能や工芸の職人さんたちが何年もかけてその技術を師匠から受け継ぐのと同じで、間違いなく野球の打撃や守備といったスキルの習得には時間と労力がかかります。何本も何本もノックを受けることによって初めて守備の技術が上がるんだと思います。英語にだって"10-thousand theory"という言葉があって、何事も1万回繰り返すことでその道のマスターになれるという意味らしいです。アメリカで気晴らしに家の前で素振りしていたら通りがかりのおじさんが教えてくれました。笑

とにかく、こういった理由で僕は量をこなすことを意識した技術練習には僕は賛成です。では、投げ込みはどうか。これにはさすがに賛成できません。肘や肩は消耗品と言われていますし、むやみやたらに投げ込んでも怪我に繋がるだけです。ただ一方でピッチングもやはり技術なので数をこなさないと習得できない技術があるのも確かだと思います(例えばコントロールとか変化球とか)。なので僕が提案したいのは1日に投げる数は20-30球程度に抑えて、それを例えば毎日とか、週に5回とか高い頻度で行うという方法です。これだと投げる感覚を養いつつ、投げ”込む”まではいかない程度で練習ができると思います。またピッチング練習はしなくても軽いキャッチボールなどでも技術の部分で試せることはたくさんありますし、ぜひジュニアアスリートには工夫をして投球練習をして欲しいなと思う次第です。それではまた。