野球の未来

野球×科学

#24 チームキャプテンに必要なリーダーシップ(スポーツ心理学)

前回に続いて、今回はリーダーシップ講座後半です。チームキャプテンに求められるリーダーシップのスタイル(リーダー像)について書いていきます。

早速ですが、みなさんがもし野球部やサッカー部等の何らかの運動部に所属していたとして、どんなタイプのキャプテンにいてほしいですか?逆に、どんなタイプのキャプテンだと嫌でしょうか?

ある研究のアンケート結果によると、チームメートが望む理想のリーダーは自分よがりにならず、チーム内の意見をよく汲みとって意思決定ができるタイプのキャプテンです。

そして、全国レベルのアイスホッケーチームのキャプテンたちに共通していたこととしては、チームメートやコーチたちとコミュニケーションをきちんと取ることができ、チームメートとコーチ、あるいはチームメート間でうまく関係性が築けるようにサポートのできるリーダーシップ像が挙げられます。

これらのことを総合的に考えると、コミュニケーションスキルの高い人物がチームリーダーには適していると言えるでしょう。

 

具体的にどのような場面でコミュニケーションを取るべきなのかを列挙していきます。

  • コーチの指示をチーム内に正しく伝達する
  • フィールド・コート・グラウンドにおいて練習や試合の統括
  • 試合の合間のハーフタイムやブレイク時にチームメートに対して指示やフィードバックを適切に行う
  • チームメートが良いプレーをしたときに随時行うポジティブな声かけ(フィードバック)
  • 下級生など年齢の若いチームメートに対するチーム活動中、活動時以外においての気遣い(学生であれば勉強や私生活においてのアドバイス等)

これらはあくまで論文内で紹介されていた一部ではありますが、チームリーダーはこのような場面でチームメートとコミュニケーションを取る必要があります。また、同じ論文内で言及されていたこととして、「リーダーはおしゃべりである必要はないが、適切なタイミングで適切な内容のコミュニケーションを取ることができる人物である必要がある」と言ったこともありました。

前回の記事でも言ったように、複数の選手たちがリーダーの役割を分担してチーム運営を行えば良いと思いますが、ここで述べたような最低限のコミュニケーションスキルは各リーダーに求められると言えるのではないでしょうか。

それではまた次回。

 

<参考文献>

Dupuis, M., Bloom, G. A., & Loughead, T. M. (2006). Team captains’ perceptions of athlete leadership. Journal of Sport Behavior, 29(1), 60–79

Vincer, D. J. E., & Loughead, T. M. (2010). The Relationship Among Athlete Leadership Behaviors and Cohesion in Team Sports. The Sport Psychologist, 24(4), 448–467. https://doi.org/10.1123/tsp.24.4.448