野球の未来

野球×科学

#6 [論文]運動後に低下する食欲を回復する〇〇

今回は少し視点を変えて食事に関する論文です。

食トレはどの年代の野球選手にとっても必須の課題だと思いますが、練習後に食事をする気分になれないと感じたことはないでしょうか?

そう感じてしまう原因は単なる疲れだけでなく、実は運動後に分泌されるホルモンも関係しています。通常、激しい運動を行なった後は食欲を抑制するホルモンであるレプチン等の血中濃度が高まります。つまり、運動後は生理的に食欲が落ちてしまうんです。そうなると体を大きくしたくても十分な食事量が確保できないため、どう考えても体重は増えていきません。

 

ところが、この生理現象を覆すことができる方法があるそうです。それが、浸水(つまり入浴)です。論文によると、激しい運動(30分間のランニング)を行なった直後に20分間の浸水をしたグループとしなかったグループとでは、その後のビュッフェ形式での食事における食事の摂取量が違ったそうです。具体的には浸水を行なったグループの方が行わなかったグループよりも平均して5.5%ほどエネルギー摂取量が多かったことが報告されています。

 

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イメージ図

これには冒頭でも述べたようにホルモン分泌が関係していると考えられます。浸水を行なったことで、本来増えるはずの食欲抑制ホルモンである"レプチン"等の濃度が抑えられたと同時に、食欲を増進させるホルモンである"グレリン"等の血中濃度が上がったと考察できます。

 

つまり、練習後にも食事量をキープしたいなら練習後に20分間湯船に浸かることが大事だということです。ちなみに、実験結果によるとお風呂の温度は特に食欲とは関係ないようです。水風呂でもお湯でも大丈夫です。

更に言うと、逆のことも考えられます。減量をしたいアスリートや、あるいはやせ願望のある一般女性は、運動後にすぐお風呂に入ってはいけないということです。そうすることで余分なエネルギー摂取を避けることができます。

エネルギー摂取量の差は平均でたった5.5%かもしれませんが、されど5.5%です。コントロールできるに越したことはありません。

ぜひ一度実践してみてください!

 

<参考文献>

Halse, R. E., Wallman, K. E., & Guelfi, K. J. (2011). Postexercise water immersion increases short-term food intake in trained men. Medicine and science in sports and exercise, 43(4), 632-638.

「運動後の浸水は、運動習慣のある男性の食事摂取量を一時的に増やす」