野球の未来

野球×科学

#37 ソフトバンクの強さの秘密はフィジカルだった!らしい

ソフトバンクが今年の日本シリーズで巨人に圧勝して4年連続で日本一になりましたが、玄人素人含めいろんな人がソフトバンクが、あるいはパリーグがなぜこんなに強いのかをいろんな視点からネット上を中心に議論しています。

DH制があるかどうかの違いだとか、ドラフトの抽選でいい選手がパリーグに流れているだとか様々意見はありますが、11/29にメジャーリーグ、シカゴカブスダルビッシュ選手が自身のYouTubeチャンネルで面白い見解を述べていたのでそれをここで紹介したいと思います。

 

結論から言えば、ダルビッシュ選手によればソフトバンクはもう15年くらい前からウエイトトレーニングとそれに加えてサプリメントの管理を徹底して行なっていたようで、それが今の強さに繋がっているんじゃないかとおっしゃっていました。当時は十分な大きさやクオリティのウエイトルームを持っていない球団もある中で、ソフトバンクはしっかりとウエイトルームを整備して、サプリメントも選手個人個人が必要なものをしっかりと供給するという仕組みが既に2005年頃からあったようです。

これを聞いて僕が何を思ったかというと、やっぱり技術云々以前にフィジカルは前提条件だよなということと、これを高校野球に当てはめて考えるとどうなるだろうか、ということです。

全国に名の通った名門校と呼ばれる高校ですらいまだに走り込みや長時間練習を強いているところが多い中で、いわゆる無名校と呼ばれる学校が名門校を倒すためのヒントがここにあるんじゃないかと思いました。このブログでも何度も言っていますが、ウエイトトレーニングと栄養指導、そして練習時間を短縮して休養をしっかり取れば、無名校でも名門校に勝てるチャンスが生まれるのではないでしょうか。

体というのは運動・栄養・休養の3条件をしっかりと揃えることで飛躍的に成長します。それは僕自身が1年間トレーニングをきっちりやってみて体感したことでもあります。練習の無駄を削って工夫をすれば、練習時間を短縮できて休養にあてる時間も増えると思いますし、強豪校みたいに何もお金を払って専門家を雇わなくても、指導者の方が自身で勉強をすればトレーニングメニューや栄養条件もきちんと整えることができると思います。例えお金のない公立高校だとしてもそれを言い訳にせずに、指導者自身が正しい方向に努力をして選手のフィジカルを徹底して正しく鍛えれば、多いに甲子園に出るチャンスはあると個人的には思います。

偉そうに口だけでこんな理想論を語っていてもしょうがないので、僕なりに思う練習の改善策をいくつか具体的に紹介してみます。皆さんもぜひ自分なりに案を考えてみてもらえればと思います。

 

1. ウォーミングアップ簡略化

みんなで足を揃えてジョギングするところから始まって、ストレッチやアジリティなどウォームアップがあまりに長い高校が多いです。無駄があまりに多いので、ストレッチ等は種目を厳選して本当に必要な数種類と最後スプリント系を入れればそれで良いんじゃないかと思います。個人的には若い高校生のアップは10分でも十分だと思います。

 

2. シートノック・フリーバッティング廃止

待ち時間があまりに長いこの2つは練習を長くさせる大きな要因なので、ノックはなるべくポジションごとに数人でやらせて(例えば二遊間と一三塁と外野にグループ分け)、フリーバッティングもケージがあればその中で個人的に行わせるようにします。もしこれらのメニューを行うにしても待ち時間に他の何かしらのメニューをこなすようにする工夫が必要だと思います。

 

3. タッパー飯廃止 / 3時間おきに間食(タンパク質+おにぎり)

タッパーに白米を山盛り詰めて、過剰に食べさせる指導は食育とは呼びません。ただのデブ活です。かといって別に彩り鮮やかなおいしいお弁当を毎日作ることを保護者の方にお願いする必要はなくて、極端に言えば鶏胸肉を丸ごとレンジでチンして塩胡椒をふればそれがおかずでも良いので、とにかくタンパク質の摂取量を増やして炭水化物と脂質の摂取量を適量に抑えることが大事になります。

また、一度にタッパー飯でドカンと食べるのではなくて、練習の合間に間食タイムを作ってその時間にちびちびとプロテインプロテインが金銭的に余裕がなければゆで卵等でもOK)やおにぎり等でタンパク質と炭水化物を取るようにします。そうすることで食時間の間に体内の栄養素が枯渇して筋肉が分解されることを防ぐことができます。そういった意味ではタッパー飯をちびちび食べるのであれば、お弁当を違う容器やラップに詰める保護者の方の負担も減るのでそれでも構いません。大事なのは食べるものとタイミングです。

 

4. 1日の練習時間は長くても5時間

5時間でもちょっと長いんじゃないかなとは思いますが、とは言っても技術練習もある程度は必要ですし、ノックしてバッティングして走塁をして等々していると週末はそれくらいの時間は必要になるかもしれません。それでも全体練習は最大で4~5時間に収めたいところです。それ以上は選手個人の判断で個人練習等はしても構わないと思います。

 

まだまだアイディアはあるのですが、まあこれくらいにしておきます。とにかく個人的に大事だなと思うのは運動・栄養・休養の原則をきちんと守って、野球の技術練習や精神トレーニンングは二の次に回して、とにかくフィジカルに全振りして高校生を鍛えていくことです。そうすれば何年もかけてソフトバンクが黄金期を迎えたように、今は無名の学校でもたくましい選手が育って強豪校とも渡り合える馬力のあるチームになるんじゃないかなと思います。また、選手たちの将来のことを考えても技術は後からいくらでも練習できるので、まずは怪我をしにくい体の強さを若いうちから求めていく方が良いのではないかと思います。