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#40 体を大きくする(バルクアップ) 理論編

体がなかなか大きくならずに悩んでいるという中学生、高校生、あるいはその親御さんは多いと思うので、今回はどうやって体を大きくすれば良いのかについて考えていきたいと思います。初回は理論編ということで、栄養素の摂取量についてどれくらいの量や割合で食べればいいのか、数値で紹介していきます。次回は実践編として、どうやって必要な量の栄養素を摂取していくか具体的にご紹介します。

 

ではまずは理論編です。

 

そもそも体を大きくする、体重を増やすということのメカニズムですが、いくつか前の減量についての記事でも書きましたが、カロリーバランスが1番の根底にあります。摂取カロリーが消費カロリーを上回ることでエネルギーを体内に貯蓄できるので、体重が増えていきます。なので、まずは1日に必要な摂取カロリー量を計算する必要があります。

keisan.casio.jp

このサイトを使って、今の体重を維持するのに必要なメンテナンスカロリーを計算してみてください。そこに+500をすると筋肉を増やしつつ体を大きくするために必要な摂取カロリー量になります。僕の場合だと2974kcalがメンテナンスカロリーになるので、約3500kcalが増量に必要な摂取カロリーという事になります。このペースでカロリー摂取を続けると1週間に1kg弱ほどは体重が増えていくはずです。体重が増えなければ、もう少しカロリー摂取をする必要がありますし、あまりに急激に体重が増えたという事であれば逆に摂取カロリーを減らす必要があります。そこは実際にやってみてからの微調整という事になります。

 

そして、そのカロリーを供給する3大栄養素が皆さんご存知の炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質であり、炭水化物とタンパク質は1gあたり4kcal、脂質は9kcalをもっています。つまり同じ重量を摂取しても脂肪から取るとカロリーはその分増えるという事になるので、体重を増やすのも簡単にできるかもしれませんが、脂質が多い食事だと筋肉ではなく脂肪ばかりがついてしまうのでおすすめはできません。

それに対してタンパク質は筋肉を作る材料となり、炭水化物は体を動かすためのエネルギー源となるのでこの2つはしっかりと摂取量を高める必要があります。脂肪も取りすぎはダメですが、ある程度は取らないとホルモンの分泌がうまくいかなかったり、体内の細胞の形成がうまくいかなかったりするので全く取らないのもよくありません。

では各栄養素どれくらいの摂取量が必要になるかというと、まず脂質は摂取カロリー全体の10%が最低必要な量になりますが、それだとかなり食生活に制限が出てしまうので20−30%くらいの間に抑えたいところです。脂質の代表例としては油になります。取りすぎに気をつけないといけないので、揚げ物や大量の油を使っての炒め物などは避けられるといいかと思います。逆に体に良い油というのもあり、魚やアボカドに含まれる油やオリーブオイル、ココナッツオイルなどは体内で体脂肪に変わりにくいものなので献立に積極的に活用してもらいたい食品です。ただ脂質である事には変わりはないので、取りすぎはやはり要注意です。

次にタンパク質は体重1kgあたり2g以上は確保できればいいと思います。体重60kgの選手だと1日に120gが目安になります。肉や魚、豆などに多く含まれます。プロテインパウダーに加えて、これらの食品を毎回の食事の中に組み込めれば理想です。

そして残りを炭水化物で補う形になります。この計算でいくとおそらく摂取カロリーの40−60%ほどが炭水化物という事になりますが、パンや米、芋などに多く含まれる栄養素になります。

 

ちなみにこのグラフは僕のバルクアップ期間(増量時)の食事の3大栄養素の内訳です。これくらいを参考にカロリー摂取を考えてもらえれば良いかと思います。

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ここまでが摂取カロリーを構成する3大栄養素の摂取目安の話でした。ここからはビタミンとミネラルを含めた5大栄養素についてもう少し掘り下げていきます。

 

ビタミンとミネラルはカロリーはもちませんが、筋肉を作る上では重要な働きをします。具体的には、これら2つの栄養素は筋肉を作る際にタンパク質を筋肉内の細胞に吸収して、筋肉を合成したり、あるいは筋肉が激しい運動によって分解されるのを防ぐ役割があったりします。なのでいくら高タンパクの食事をしていても、この2つの栄養素もきちんととっていないと体内で吸収されずに、外に排泄されてしまいます。

つまり、筋肉を効率よく作っていく上で非常に重要な栄養素がビタミンとミネラルになります。ビタミンの中でもBやDなどそれぞれに異なる役割があるのですが、説明していると複雑になりすぎるのでここでは省略します。そしてミネラルとは具体的にはマグネシウム亜鉛、鉄分等のことを指しますが、これらも細かな役割の説明は省略します。

とにかく、これらを含めた5大栄養素全てを適切な量摂取する事で体を大きくすることができるということを理解してください。

 

以上が理論編です。次回は実践編ということで、どのような食べ物をどの程度どのタイミングで摂取すればいいかについて紹介します。