野球の未来

野球×科学

#10 [コラム]Baseballは野球より遥かに論理的だった

何が言いたいのかよく分からないタイトルですが、Baseballアメリカでの「野球」、野球は日本の「野球」のことだと解釈してください。また、僕が今から書くことは今までの人生で自分が見てきた範囲の世界のことでしかないので、Baseballが一概にこうだとか、野球は日本全国共通でこうだとは言えないということも理解してもらえるとありがたいです。

 

ここ最近、自分が通っているアメリカの大学の野球部の試合形式の練習(紅白戦)に参加させてもらって、試合中のピッチャーの投球データ収集のお手伝いをしています。Rapsodo(ラプソド)という、だいたい20cm四方の機械を使っているのですが、これをホームベース手前5mほどの地面に置いておくことで、球速やボールの回転数、回転軸、ボール変化の幅、リリースポイントなどを瞬時に記録してクラウド上に全データを保存することが可能です。詳しくは下のリンクからRapsodo Japanの公式サイトに飛んでみてください!

 

このRapsodoを通してのデータ収集はこの大学の野球部では今年からシーズン通して行われ、シーズン前後やあるいは数シーズンにわたっての投球データの変化を比較することで、ピッチャー自身やコーチがパフォーマンスにどういった変化があったのかを数値で知ることができます。Rapsodoという機械自体の認知がまだ広がっていないこともあって、日本でこういったことをしている大学野球部は少ないと思います。(僕もアメリカに来るまでRapsodoなんてものは知りませんでした)

これがBaseballが論理的だったという点の一つ目です。

 

そして紅白戦が行われている間、コーチたちは各々メモやストップウォッチ等を片手に試合を見守っています。誰ひとりとして手ぶらで観戦しているスタッフはいません。球数をカウントしたりピッチャーのクイックモーションの所要時間を測ったり、あるいは各プレーに対する評価なども細かく書いていました。そして、試合中に取ったメモをもとに試合後にミーティングで選手たちにフィードバックが行われます。これが想像以上に長くて、どの選手のどのプレーが良くて、どのプレーが良くなかったのか、そしてどうして自分はそのプレーを評価するのか(または、評価しないのか)が的確に選手に伝えられます。普通に考えればごくごく当たり前のことですが、ここまで細やかに的確に自分の意図や評価を各選手に伝えられている指導者が日本にどれだけいるでしょうか?

こういったフィードバックを受けることで、選手もコーチがどういったことを重要だと考えていて、そして自分はどういうプレーをするべきなのかを理解しやすくなると思いますし、指導者ー選手間で信頼関係も構築しやすいのではないでしょうか。

 

これは野球の場面だけでなく普段から言えることですが、アメリカ人は大雑把で細かいことはできないというのは完全に間違った偏見です。一流の人(指導者、選手、教授、学生)はきっちり仕事や課題をこなしますし、入念な事前準備も欠かしません。その緻密さは一般的な日本人より優れているときも多いのではないかと感じるほどです。

 

少し話が逸れましたが、僕が見てきたBaseballは確実に野球よりもデータを重視していますし、客観的にパフォーマンスを捉えようとする傾向は強いと個人的には身にしみて感じています。自分の経験や根性論に全てを押し付けるような指導法は良くないんだな、と改めて学ばせてもらえているここ最近です。。

 

Rapsodoのリンクはこちら↓

https://rapsodo.com/ja/baseball/pitching

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左下に見える小さな三角屋根の物体がRaosodoです